凍結抑制舗装の機能の確認方法については、現状では確立されたものはなく、さまざまな方法が実施検討されています。
化学系凍結抑制舗装や物理系凍結抑制舗装、および粗面系凍結抑制舗装では、効果の発現原理が異なるために機能の確認方法も異なりますが、ここでは現場で行われている一般的かつ簡単で明確な方法と、当研究会が検討を進めている定量的評価方法について紹介します。
○ 現場で確認する方法
[1]化学系凍結抑制舗装の場合
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硝酸銀溶液を用いて塩化物の溶出を確認します。 (透明の状態から塩化物に反応して白濁反応を起こす→機能発揮)
塩分濃度計により塩化物の溶出を確認します。 (塩化物の溶出→機能発揮)
〈参考文献〉
[2] 物理系凍結抑制舗装の場合
舗装路面のゴム・ウレタンが一様に損傷なく設置、あるいは接着されているかを確認します。 (ゴム・ウレタンが設置・接着している=機能発揮)
○ 室内で確認する方法
路面凍結の状態により機能を評価しようとすると、現場では季節や時間帯が限定されたり、気象や供用状況などのさまざまな影響により、安定した評価を行うのが難しいのが現実です。 そこで当研究会では、室内で作製した供試体や現場から採取した切取り供試体などを用いて、試験室の管理された状態で機能を評価することができる『氷着引張試験』の検討を進めています。 なお、本評価法は、「舗装調査・試験法便覧 C049 氷着引張強度試験方法(平成31年3月、社団法人 日本道路協会)」に記載されています。
本試験に関する検討結果については、下記等において発表しています。
室内供試体または切取り供試体上に模擬氷板(t=1.5mm 程度)を設置し、ホイールトラッキング試験機により、氷板上で試験輪を走行させます。凍結抑制効果を有するものは、氷板にひび割れやはく離箇所が見られます。 なお、本評価方法は、「舗装調査・試験法便覧 C056T 凍結抑制舗装のホイールトラッキング試験による氷板破壊試験方法(平成31年3月、社団法人 日本道路協会)」に記載されています。
室内供試体または切取り供試体上全面に模擬氷膜(t=1mm 程度)を設置し、ホイールトラッキング試験機により、氷膜上へ試験輪をトラバース走行させます。凍結抑制効果を有するものは、氷膜にひび割れが見られ、また、下地が露出しやすくなり、すべり抵抗性の向上が見られます。
除雪のしやすさを評価する試験です。室内で作製した供試体または凍結抑制舗装を施した原位置にて、舗装表面に強制的に模擬雪氷を付着させ、スコップで模擬雪氷をはがします。除雪効果の高いものは、簡単にはがれます。主に化学系凍結抑制舗装の評価に用いられます。 なお、本評価方法は、「舗装調査・試験法便覧 C057T 凍結抑制舗装のスコップによる除雪の容易さ試験方法(平成31年3月、社団法人 日本道路協会)」に記載されています。